嘘です。
いま、キング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」を聞いています。いわゆるプログレの金字塔とか言われるような名盤ですが、いつの頃からかこのアルバムはデザインについて考える、小さなきっかけの一つとなっていました。
大学2、3年生の頃、上野毛キャンパスのデザイン学科に行くと、そこではグラフィックデザイナーで准教授の佐藤直樹さんが授業か何かをしていました。
その授業では各自がこれまでの活動に対して大きな影響を与えたものを持ってきてそれをプレゼンテーションする、というようなもので、それぞれ雑誌やマンガなどさまざまなものを持ち寄っていました。
佐藤さんも、佐藤さんご自身に影響を与えたもの持ってきていました。
佐藤さんといえば、ここで説明するまでもないようなトランセンデンタルなデザイナーなので、その活動に影響を与えたものがあるとすれば、それはどんなものなのだろうと、私は興味津々でした。
佐藤さんの足下にはレコードが一つ落ちていました。
それがキング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」だったのです。
佐藤さんは一言だけポツリと言いました。
「クライアントには、まだこういうジャケットは提案できない」
このジャケットについては多くの人が語っているので、背景や作者についてはGoogleで検索してもらうとして、ともあれ、多くのジャケットが、デザインワークの一環であることを考えると、当然、イラストレーターの制作物をクライアントが認めなければ世に出回ることはありません。
この狂気を孕んだジャケットを描いた狂人がいる、ということを我々が知っているということは、その狂人に仕事を発注した人間がいるということ、また、よりによってこんな狂気を孕んだジャケットを採用してしまった人間がいるということを示しているのです。
普段、デザインの勉強のなかではあまり意識することの無い共犯関係の存在を佐藤さんには教えてもらったような気がします。自分、デザインの勉強してないからどこに活かせばいいのか分からないけど。